「銃・病原菌・鉄」の上巻3章を読んだので、自分なりに大事だと思った部分をまとめて記録していきます。
あくまで個人的な感想なので、その点ご理解いただければと思います。
「銃・病原菌・鉄」とは、人類の歴史について考察した本で、100万部売れたベストセラー作品です。
文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)
- 作者: ジャレド・ダイアモンド,倉骨彰
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2012/02/02
- メディア: 文庫
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3章-スペイン人とインカ帝国の激突-の概要
- 西暦1532年、インカ帝国にスペイン軍が攻め入った。
- 人数では劣るスペイン軍が、インカ帝国を容易く征服できた要因は銃や鉄製の武器、馬といった優れた装備によるもの。
- 更にインカ帝国内は伝染病によって王が死に、内乱状態だった。
- スペインのインカ帝国侵攻に限らず、ヨーロッパの国が他地域を征服をできた要因は、銃、病原菌、鉄に集約される。
3章ではスペイン軍がインカ帝国の皇帝と兵士を蹂躙した様子がかなり詳細に書かれています。
その後、何故スペイン軍はインカ帝国を容易く征服できたのか?という点を深堀りし、この要因はそのままヨーロッパの国々が他の域を征服できた理由と同じであるという事で締めくくっています。
しかしまだ謎は残っています。
それは、「何故ヨーロッパは他地域に比べて優れた武器を作り出す事ができたのか。何故他の地域ではそれが出来なかったのか。」という点です。
3章を読んだ感想
この本は、人類がどのように世界中に拡散し、各地域の武力や文明の差はどのように生まれたかを考察する物ですが、自分としてはどうしても「人間の残酷さ」に注意が向きます。
スペイン人は鉄製の武器に身を固め、無防備な大勢のインディアンを虐殺してしまいました。
その上スペイン軍は、インカ皇帝アタワルパを人質に取り、莫大な身代金を要求し、身代金を受け取った後に処刑してしまいます。
そのアタワルパ自身も、スペイン軍が攻め入る前、内戦で兄に勝利して皇帝の座を手に入れています。
自らに逆らった町の住人を皆殺しにするといった事もしています。
2章でもポリネシアの人々の争いを描いていますし、人間が新しい地域に進出する度に大型動物の絶滅が発生しています。
人間は個人を見ていけば平和主義で、優しい人も大勢います。
しかし人類という集団を、人類史という長いスパンで見たときに、本質的には暴力的で野蛮な生き物だという印象を持たざるを得ません。
こうした歴史から得られる事こそ、平和は不断の努力無しには得られないという現実です。
これが3章まで読んで自分が得た教訓となります。
インカ帝国では当時天然痘が大流行し、それが内乱のきっかけになったのだと本では書かれています。
確かにきっかけではあったかもしれません。ですが人間の本質を考えると、遅かれ早かれ内乱は起きていたのではないかと自分は想像してしまいます。
もちろん、未知の病原菌に抵抗力の無い原住民が大量に死んでしまう事例は各地に残っており、この歴史的影響は様々あると思います。
しかし、内乱の本当の原因では無いと考えるのが自然です。
争いとは、人間同士の恨みつらみ、妬みや見栄、権力への欲、そして心の弱さが招くものなのではないでしょうか。
戦争が起こる原因等については他の本に詳しいと思います。
もちろん、歴史の流れの面白さもあるので、それはそれで知識として得られて良かったと思っています。
引き続き読み進んでいきます。
永遠平和の為に
別の本ですが、ドイツの哲学者、カントが書いた「永遠平和の為に」という有名な哲学書があります。
この本の一説が、銃・病原菌・鉄の3章を読んでいた時に思い起こされました。
以下に引用します。
一緒に生活する人間の間の平和状態は、なんら自然状態ではない。自然状態は、むしろ戦争状態である。
言いかえれば、それはたとえ敵対行為がつねに生じている状態ではないにしても、敵対行為によってたえず脅かされている状態である。
それゆえ、平和状態は、創設されなければならない。
- 作者: カント,Immanuel Kant,宇都宮芳明
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1985/01/16
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これは私たちの日常生活でも胸に刻んで行動すべき教訓だと思うのです。
身近な他者との関係も、努力して友好的な状態を保つ必要があります。
平和を愛するならば、平和な日常に甘えることなく、まずは身近な周囲の人たちへの気配りを欠かさないようにしたいものです。
今回は以上です。
またよろしくおねがいします。