「銃・病原菌・鉄」の5章「持てるものと持たざるものの歴史」を読んだ概要まとめ、感想を書きます。
↓この本
文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)
- 作者: ジャレド・ダイアモンド,倉骨彰
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2012/02/02
- メディア: 文庫
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この5章では「食料生産がどこで始まり、広がっていったのか」というテーマで考察を深めています。
4章までの感想はこちら。
- 人類の歴史が分かる、「銃・病原菌・鉄」の、人類が全ての大陸で暮らし始める所まで読んだまとめ。 - さんごーの節約&ダイエット日記。
- ポリネシアの歴史から得られる、最も重要な一つの学び。「銃・病原菌・鉄(上)」を読んで。 - さんごーの節約&ダイエット日記。
- 銃・病原菌・鉄(上)の3章を読んだまとめと感想 - さんごーの節約&ダイエット日記。
それではまとめていきます。
食料生産が始まった時期をどうやって知る事ができるか
- 考古学では炭素14年代測定法を用いる。
- 1980年代までの手法では数グラム単位のサンプルを必要とした。
- 数グラム単位のサンプルが取り出せない時は、近くにある関わりのありそうな物を使って測定した。これにより測定誤差が生じていた。
- 現在では加速器質量分析法を使ってこの課題を回避している。
- 過去の大気中の炭素の濃度が現在と違う為に測定誤差が生じる。
- 発掘された植物がよそからやってきたかどうかは、その植物の祖先の分布から推定できる。
食料生産を人類が始めた時期を知る方法からまず触れられています。
科学的な手法として「炭素14年代測定法」という手法を少し詳しく書いています。
しかしこの手法には技術的な課題もある事や、新しい手法で測定したときに昔の調査結果と数千年単位で年代がずれてしまうケースがある事も説明されています。
技術的な課題の例としては、昔の測定方法だと数グラム単位でのサンプルを必要していたようなのですが、遺跡から発掘される植物の種子のサンプルを数グラム集めるという事自体が至難の業であり、仕方なく「測定したい物の近くに埋もれていた物」を使って年代を測定するという事が行われていたようです。
しかしこの方法だと、近くに埋もれていたからと言って確実に同年代の物とは言えない為、年代を推定する際に誤差が生じてしまうとの事。
このあたりはちょっと余談っぽかったですね。
食料生産はどこで始まったか
食料生産が最初に始まったのは以下の5地域とされています。
- メソポタミアの肥沃三日月地帯(東南アジア)
- 中国
- 中米
- 南米のアンデス地帯
- 合衆国東部
他にも最初に農耕が始まった可能性がある地域もあるものの、確実なのはこの5つという事です。
他の地域から食料生産が伝わった地域
上記5地域の他の地域では、飼育栽培された動植物が持ち込まれたことがきっかけとなって食料生産が始まっています。
そのルートは以下のような例が挙げられています。
南西アジア→ヨーロッパ西武・中部
紀元前6000年〜3500年
ヨーロッパ西武ではケシの栽培が独自に始まっている。
土着の狩猟採集民が栽培を始める。
東西アジア→イラン→インダス川流域
紀元前7000年頃
ゴマが独自に栽培される。
東西アジア→エジプト
紀元前6000年頃
エジプトイチジクなどが独自に栽培される。
土着の狩猟採集民が栽培を開始。
東西アジア→エチオピア
コーヒー豆などが独自に栽培される。
東西アジア→北部アフリカ→南アフリカ
羊や牛を手に入れて牧畜を始める
ヨーロッパ→カリフォルニア等様々な地域
カリフォルニア、北アメリカ大陸北西部の太平洋岸、アルゼンチンの大草原、オーストラリア、シベリア。
ヨーロッパからやってきた農耕民によって原住民を殺したり追放して食料生産を始める。
地域ごとの食料生産の広がり方の違い
東西アジアで元々栽培されていたのは小麦やオリーブであり、これらがトウナンアジアの周囲に広まる事で、その地域の人々は食料生産を覚えることが出来ました。
食料生産を覚える事で、他の地域には無い独自の植物を生産するようになっていったという事のようです。
また、ヨーロッパから食料生産が広がっていった経緯を見ると、ヨーロッパ人が他の地域を侵略する形で原住民と入れ替わり、ヨーロッパ人にとっては新たな土地で食料生産を始めていったようです。
ヨーロッパのように農耕を最初に始めた地域では、その後の歴史でも他の地位に比べて優位に立ち続ける事ができました。
4章以前でも見てきたように、大規模な社会を作り、鉄製の武器や銃の生産を先にできたからです。
このように、歴史に大きな影響を与えた食料生産の開始時期の差はどのようにして産まれたのか?
この疑問に関しては次以降の章で扱われていくようです。
以上、5章のざっくりまとめでした。
4章までの感想はこちら。
- 人類の歴史が分かる、「銃・病原菌・鉄」の、人類が全ての大陸で暮らし始める所まで読んだまとめ。 - さんごーの節約&ダイエット日記。
- ポリネシアの歴史から得られる、最も重要な一つの学び。「銃・病原菌・鉄(上)」を読んで。 - さんごーの節約&ダイエット日記。
- 銃・病原菌・鉄(上)の3章を読んだまとめと感想 - さんごーの節約&ダイエット日記。
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歴史の大きな流れを追う本なので、人の名前を沢山覚えたりしなくて良いぶん、歴史に疎い人にも読みやすいかもしれません。
文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)
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今回は以上です。
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